みなさまの参考になりそうな書籍を担当者がピックアップして、毎月お届けするコーナーです。当センターにお寄りになったら、ぜひ手に取ってご覧ください。
今回は遅れていますが、5月分です。さて、このコーナーはいつまで続くのでしょう(汗)
『社会の変え方』
泉 房穂、ライツ社、2023。
https://wrl.co.jp/2022/06/13/akashi_mayor/
<担当者から>
著者は、前・明石市長の泉さん。
明石市は、先進的な子ども・子育て施策をとっていることで有名です。
本書を読むと、子どもだけでなく「市民に寄り添うこと」が全編を貫くキーワードになっています。
著者は子ども時代に「障害に対する差別と貧困」の中にあり、「社会のほうがおかしい」と感じていたそうです。
明石市の施策の多くが、子どもだけでなく、少数派の人々にも光を当てるものであったことは、子ども時代からもち続けた強い思いが影響しています。
明石市の子どもに関する施策「5つの無料化」はとても有名ですが、彼は本書の中で「先進国の中では日本だけが遅れていた。無料化は、実は簡単。予算の配分を変えるだけ。どこでもできる」と言い切っています。
人口が増えることにより必要となった他の施策や、他の「寄り添い」施策の実施は簡単ではなかったようですが、「だれかに我慢を強いるのは間違い」と考え、組織の強化、職員の意識改革、全国からの人材確保などにより実施してきたとのこと。
新型コロナ感染症のまん延時にも、明石市は生活や商売継続に窮した市民の支援(緊急貸付など)を迅速に実施しました。
担当者が印象に残ったフレーズは、「政治を変えれば、私たちの生活は変わる」「市民に近い行政(市町村)が速やかに動けば救える」などです。たくさんあります。
強い信念をもち、理想の社会に向かって尽力し、反対があっても動じないところがとてもすごいと感じました。
余談になりますが、彼自身、育った家庭は貧乏だったようですが、勉強にも努力して東京大学を卒業しています。
つい先日、政府が国立大学の学費を私立大学なみに上げることを検討していると報道されました。
数年間かけて毎年10%ずつ学費を値上げするとも言われています。
裕福ではない家庭に育つ子どもたちから、学びのチャンスを奪うことがないことを願っています。
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